コロナ禍で注目される抗ウイルス建材の現状とこれからを聞く

アイカ工業株式会社

小久保 淳氏

建材抗ウイルス抗菌消臭

およそ2年に及ぶコロナ禍において、にわかに注目が高まっているのが、抗ウイルス・抗菌の機能をもつ建材だ。そこで今回は、抗ウイルス建材「ウイルテクト」シリーズの製造・販売を手がけるアイカ工業の小久保 淳さんに、今後の展望や施工業者へのメリットなどを含めてお話を伺った。

コロナ禍で変化した抗ウイルス市場

コアテクノロジーの高分子技術を生かし、これまでメラミン化粧板を主力とした多様な建材を手がけてきたアイカ工業。抗ウイルス・抗菌機能が注目される「ウイルテクト」シリーズには、どのような特長があるのだろうか。

「もともと医療・福祉施設や育児・教育施設のテーブル天板や什器・家具、トイレブース等の表面材としてのニーズに応える形で、2016年に開発をはじめました。ですから、まだ新型コロナウイルスが出てくる前のことなんです。冬にはインフルエンザやノロウイルスが流行し、医療・福祉施設等で抗ウイルス性能への関心が高まっていることを受けて開発していました。表面のメラミン樹脂に練りこまれた抗ウイルス剤により、ウイルスの外壁膜を破壊し、タンパク質の合成を阻害することで、やがてウイルスの核、ウイルスそのものを死滅させるという仕組みです。24時間後の特定のウイルス数を調べた試験では、未加工品に比べ99%以上の減少が見られました。SIAA(抗菌製品技術競技会)の抗菌マーク(緑色)と抗ウイルスマーク(赤色)も取得しています。現在は天板・什器・家具用の『アイカウイルテクト』、壁面に用いる『セラールウイルテクト』など、さまざまな用途の建材を揃え、空間をトータルコーディネートしていただくことも可能です」

※上記の写真はサンプルです。詳細はお問い合わせください。
ウイルテクトシリーズが発売されたのは2019年1月。コロナ以前のことでもあり、当初はそれほど注目されなかったという。通常の建材に比べて、どうしてもコストが割高になる点も導入のネックになっていた。

「新型コロナウイルスの流行後、飲食店や自治体などで抗ウイルスのニーズが高まりました。公共のトイレですとか、小中学校、高校のトイレなどで使われるケースが増えており、商業施設、老健施設、店舗、病院などでのニーズも増えていますね。ただ、住宅の需要はそれほど増えていません。住宅の場合は“家の中にウイルスを持ち込ませない”ことに主眼が置かれることが多く、玄関の横に手洗い洗面を付けるなどのニーズの方が高いのが正直なところで、これからの分野かなと思っています。この8月に発売した新製品の『ウイルテクトPlus』では、消臭の機能を新たに追加しました。抗ウイルス、抗菌、消臭という3つの機能です。たとえば学校のトイレなどの場合、どちらかというと消臭機能がメインになってきます。これまでは消臭の化粧板と抗ウイルスの化粧板が別々にあり、お客様がどちらかを選ばなければならなかったのですが、『ウイルテクトPlus』ができたことで、まとめてご提案できるようになりました。お客様からもとても喜ばれています」

より多機能化していくメラミン化粧板

約2年間に及ぶコロナ禍で、人々の暮らしは「新しい生活様式」へとシフトした。そこから生まれる新たなニーズは、アイカ工業の商品開発にも影響を与えているのだろうか。

「もともとメラミン化粧板自体が傷に強く、耐薬品性、耐熱性に優れた建材です。たとえば最近は、どこへ行っても次亜塩素酸や消毒用アルコールが置かれていますが、それが垂れたりした場合、テーブルや床の木材に跡が残ったり、フィルムの粘着が剥がれたり、素材によっては表面が変化してしまったり、といったことが起こります。ウイルテクトを使用した天板なら抗ウイルス性に加えて耐薬品性もあるので、そういったことも起きにくくなります。こうした事例からも、ウイルテクトにはもっと多様な用途があるのではないかと考えています。コロナの状況下で生活様式が変わり、困りごとも少しずつ変わってきていると思います。そうした潜在的なニーズに対して、確実にミートできる商品を開発することが大事だと思います。その点は、私たちもやりがいを感じている部分ですね」

抗菌・抗ウイルス市場で一定の評価を受けている「ウイルテクト」シリーズ。今後の機能性建材について、アイカ工業ではどのように考えているのだろうか。

「まず、今後も抗菌・抗ウイルス市場は拡大していくと思います。抗菌機能は20年以上前に付与しましたが、今では当たり前のものになりました。同じように、抗ウイルス機能もいずれ当たり前になるのかもしれません。また、抗ウイルス機能が必要なところ、必要のないところというのも、今後より明確になっていくと思います。壁面など人が触る部分へのニーズは確実にあるでしょうし、一方で天井に抗ウイルス機能があっても、あまり意味がないかもしれません。ただ、抗ウイルス機能一辺倒で今後の市場が拡大するかというと、それは難しいと思います。消臭のような新しい機能を加えて、より多機能化していくことが必要と考えています。ですから我々も消臭機能の次、さらに次のニーズに対応する研究もすでにいくつか始めています。何かの機能を1つ足すと、それ以外のところがダメになることもあり、そういった部分は非常に苦労するところです」

施工業者にとってのメリットとは?

実際の施工にあたる工事会社の場合、建材の選定に関わる機会は少ないかもしれない。ただ、世の中のニーズの変化を感じ取り、それに対応した製品情報を頭に入れておくことには、少なからぬメリットもあるはずだ。

「たとえばリフォームやリニューアル工事などの場合、元請けのゼネコンさんや施主の方から『何か良い建材はないか』と聞かれるケースもあると思います。そういった時にウイルテクトのような商品を知っていれば、ご提案することもできますよね。そうすると工事会社さんとしては、作業量は同じで、少し大きい金額の仕事になるかもしれません。たとえば軽天屋さんの現場では、3mm厚の不燃化粧板を使われることが多いと思いますが、これに抗ウイルス・抗菌機能が付いたものもあり、従来のものとまったく同じように扱っていただけます。私たちとしては、そうした点も含め、施工業者の方や現場の職人さんたちにもこの商品の良さを知っていただき、どんどん裾野を広げていきたいと考えています」

自治体によって異なるが、抗ウイルスや抗菌の商品を使ったリフォームに補助金が出るケースも多い。また、国土交通省が実施しているグリーン住宅ポイント制度でも、「新たな日常に資する商品」という項目でサポートされている。そうした国や自治体の制度を活用し、抗ウイルス・抗菌の建材や家具をお得に導入できる点も、ぜひ知っておきたいところだ。

取材協力

アイカ工業株式会社

1936年10月創立。樹脂合成技術を核に、「化学」と「デザイン」のシナジーで社会の要請に応える。建築分野を中心に幅広い製品を提供。

小久保 淳氏

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