災害復旧事業と紐付いた 完全無料の施工管理アプリ

テラDXソリューションズ株式会社

施工管理アプリ事業部

高橋えみ子 氏

DX施工管理業務効率化

業務効率化の一環として、施工管理アプリを導入している会社も多いだろう。この施工管理アプリ分野において、完全無料の手軽さで急速にシェアを伸ばしているのが、テラDXソリューションズ株式会社による「テラ施工管理」だ。事業責任者の高橋えみ子さんに、アプリの主な特徴や、完全無料を可能にする仕組みなどについてお話を伺った。

まったく新しい
無料化の仕組みを構築

2021年2月に創業し、6月には施工管理アプリ「テラ施工管理」を発表。わずか1カ月弱で登録社数3000社突破という驚異的な躍進をみせるテラDXソリューションズ。一体どんな会社なのだろうか。

「弊社は建築業界のDX促進を目的に創業しました。代表取締役の徳重はテラモータース、テラドローンという会社も展開していまして、その3つ目の事業としてスタートしています。事業部は大きく分けて2つあり、この施工管理アプリ事業と、それから災害復旧事業というものです。
じつは災害復旧事業は、施工管理アプリと関連付けられています。何か災害等が起こったとき、復興工事の業者が決まらない方から損害保険会社に連絡が来ます。ただ保険会社が工事業者を紹介するわけにはいかないので、なかなか復旧が進まないということが社会問題化していました。
そこで、もともとご縁のあった大手損害保険会社にお声がけいただき、弊社と業務提携を組みました。そして弊社が元請けというかたちで、お近くの工事業者さんにご依頼させていただく事業を展開しています。費用は保険から出ますので、適正な価格で施工依頼することができます。そちらできちんと利益が出ていますので、弊社の施工管理アプリを無料でご提供でき、そのアプリを通して工事の依頼を行なうというかたちです。社会的活動の側面もありますね」

 

そもそもなぜ建築分野のDXに参入しようと考えたのだろうか。

「幅広い業界・業種でDX、デジタル化が進められていますが、建築業界はまだまだアナログな部分が多いと思います。人員不足などもあり、進めたくても進められない状況のなかで、私たちにできることがあると考えました。
ただ、やはり現場の方に使っていただくことが第一です。便利な機能を用意しても、使いづらかったり、高額だったりしたら使っていただけません。そこでいうと、弊社のものは使い勝手がよく、しかも無料ですので、どなたでも使えると思います。
施工管理アプリにも色々ありますが、弊社の「テラ施工管理」の大きな違いは、やはり無料ということだと思います。機能面で特別なものはありませんが、むしろないからこそ誰でも使いやすい仕様になっています。ご年配の方でも、スマホなどが得意ではない方でも、直感的に利用できます。
今後ますます少子化などで人員が確保できなくなるなかで、デジタルツールは『使わざるを得ない』ものだと思います。今のうちから少しずつ慣れていって、積極的に使えるようになっていただきたいですし、弊社もそこに貢献できると思っています」

会社設立の4カ月後にアプリをリリースし、あっという間に3000社で導入された「テラ施工管理」。このスピード感で扱いやすい製品を作り、広く普及させるのは、決して簡単なことではなかったはずだ。

「論理的に進んできたわけではなく、試行錯誤の繰り返しです。最初の頃は正直、お客様からお叱りの声もかなりいただきました。ただありがたいことに、すぐにアップデート等で対応しましたので、お客様から『使い続けます』という声をたくさんいただきました。
これまで販促にはあまり力を入れてきませんでしたが、事業責任者として最も大事にしているのは、やはり現場の方からのご紹介です。爆発的な訴求力はないかもしれませんが、私個人としては、地場的なつながりが一番強いと思っています。
まずはアプリを使っていただくことが大事ですが、やはり慣れていない方もいらっしゃると思います。そこで弊社のサポートチームが、完全無料の個別面談という形でサポートを行なっています。40分程度のウェブ会議で、基本的な使い方から報告書の作成まで、すべてレクチャーを行います。ご登録いただいているお客様であれば、何回でも無料です。『新人が入ってきたから、もう一度説明してほしい』といったご要望もありますね。
たとえばご高齢のお客様が『どうしてもログインができない』ということで、弊社のスタッフが2時間ぐらいお手伝いしたこともありました。なんとかログインできたのですが、『じゃあ、機能の説明をしましょう』ということで、2時間後にまたお話しました。弊社では『時間だから終わり』ということはありません。今後は人員も増やしながら、より手厚いサポートができればと思っています。
お客様と個別面談させていただいた後には、弊社とのトークルームを作らせていただきます。そこを通してご意見、ご要望をいただける方も多くいらっしゃいます。そうした関係を築けるのは、弊社として大きな価値のあることですね。ユーザーが気軽に意見を言えるというのは、とても大事なことだと思います。近しいかたちで声が入ってくるので、具体的な課題を細かく把握することができています」

内装工事の現場でも
シンプルな機能性が好評

実際の施工現場や事務作業において、「テラ施工管理」はどのように使われているのだろうか。

「LINEのように、直感的に使えるコミュニケーションツールというのがメインです。さらに報告書を作ったり、カレンダーでの工程管理、工期を入力することで現場ごとの進捗状況を追えたりといったことができます。
お客様はひとりで導入されている方から、10〜20人規模の工務店さんまでが中心です。ただ、最近は大手ゼネコンさんなどからもお声がけいただいています。というのも、下請け会社を含めて多数導入される場合、必要な機能さえ揃っていれば、コストのかかるものを選ぶ必要はないんじゃないかということですね。
難しいのが、お仕事をしている間はアプリを使うのですが、終わると使わなくなるケースも多いということです。そうなると、本来の目的であるDXやデジタル化に及ばず、そこで止まってしまいます。そうであれば、機能は簡単でも無料で導入できて、日常的に使えるものがいいのではないか。『テラ施工管理』はそうしたアプリを目指しています。
もちろん内装業においても、リフォーム関連を中心にご利用いただいております。内装業の方は現場で写真をたくさん撮られると思いますが、弊社の場合、何枚撮ってサーバに上げても追加費用がかかりません。すべてクラウド上で管理し、容量無制限で、費用もかからない仕様になっています。
具体的な作業では、報告書の作成ですね。報告書はエクセルで作られている方が多いと思いますが、それが非常に手間だったりもします。弊社の場合は、報告書のフォーマットが2パターンしかありません。完工のものと調査報告書とに分かれていて、そこに写真を当てこんで、一言書くだけで済んでしまいます。非常に簡単ということで、ご好評いただいています。
この報告書の作成機能はパソコン上でだけ使えますが、今後はスマホやタブレットでも使えるようにアップグレードされていくと思います。現在、弊社の施工管理アプリはPC/タブレット版と、スマホ(iOS/Android)版に分かれているのですが、それらを一本化するというよりは、それぞれの特色を生かしていくのがいいのかなと個人的には思っています。
というのも、ひとりですべてやっている方もいらっしゃれば、報告書などは事務員さんが作るという場合もあります。すべて同じでなく、それぞれが使いやすい仕様を目指していければと考えています」

災害復旧の現場に
スピード感をもって対応

ユーザー数のさらなる拡大とともに、今後目指していく方向性はどういったものなのだろうか。

「先ほども申し上げたように、災害復旧のプラットフォームというところを重視しています。業務提携している会社だけではなく、他の損害保険会社からも依頼をいただいていまして、それらを一気通貫でやっていく構想を描いています。お仕事の依頼は多くありますので、それをどう、どこに采配するか。工事の振り先がないのが一番困りますから、施工管理アプリの普及も重要になります。そうした社会的な意味も込めて発展していきたいと思っています。
今までこうしたマッチングはなかったと思います。あったとしても、登録料を取るものですね。弊社の場合は、完全に火災保険などから費用が出ているので、事業者様の負担はありません。いつもと同じ見積もりを出していただくところがポイントで、相見積もりも取りません。あくまでも施工をスムーズに進めるというところを目標にしています。
大きな震災などでもそうですが、被災後にずっとブルーシートがかかっているような状態は、施主様はもちろん、工事業者さんとしても歯痒さがあると思います。とにかく施工を早くということで、弊社のスピード感をもって復興を進められればと思っています。日本では、地震などの災害は免れることができません。起きてしまったことに対して、どれだけのスピードで対応できるかというのが、ひとつのポイントなのかなと思います」

少数精鋭のベンチャー企業として、志のあるビジネスを展開しているテラDXソリューションズ。デジタルツールを気軽に導入してみたい方にとっては、無料でスタートできる「テラ施工管理」は心強い存在といえるだろう。

取材協力

テラDXソリューションズ株式会社

2021年2月に創業。テラグループの一員として、建築業界のDXを推進する。完全無料の「テラ施工管理」をはじめ、各種ソフトウェア、アプリケーションの開発を行う。また、大手損害保険会社と提携し、災害復旧事業も展開している。

高橋えみ子 氏

施工管理アプリ事業部

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