安全・安心を担う耐震天井施工の現場を知る

有限会社 栄和

工事部 課長

斉藤 俊一氏

天井天井耐震耐震

埼玉県北部に拠点を置く栄和は、大手ゼネコンの仕事を中心に、下地ボードから仕上げまで幅広く手がけている内装工事業者だ。少数精鋭のエキスパート集団であり、その高い技術は「栄和クオリティ」といわれるほど。そこで今回は、栄和の工事部課長である斉藤俊一さんにご登場いただき、耐震天井施工の現場についてお話を伺った。

苦労の多かった保証物件の施工

現在JACCAでは、地震によって対象の天井が落下した場合に、JACCAが現状復旧を保証する「耐震天井保証制度」を実施している。組合員が施工した認定工法をJACCAが保証することで、安心して耐震天井を採用することができる仕組みだ。斉藤さんは、東洋大学・川越キャンパスの食堂棟で、この保証物件の施工を手がけた。その工事の概要はどのようなものだったのだろうか。

保証物件は通常の施工と比べて、設計段階からいろいろな制約があります。ですから、天井内のダクトやブレースをすべて計算しきった上で施工するのが普通です。本来は設計段階から入って、天井アンカーや設備・電気の機器、ダクト配管など、すべて図面に落とした中で施工していかないと、完全にJACCAの仕様を満たすことは難しいんです。でも、それが組み終わってしまえば、ほぼ落ちることのない天井になります。
ただ、私が携わった東洋大学の場合は、改修工事というか、設備関係はそのまま残し、ボルト施工からJACCA仕様でやったので、難しい面もありました。食堂ですから、天井には空調のダクトや照明などの配線がすごく多い。それらをすべて残して、LGS(軽量鉄骨下地)と仕上げだけをやるという工事でした。桐井製作所の方やゼネコンの監督さんと話し合いながら、苦労して施工していきました。夏休み中の工事なので、短期間でやらなければならないということもありましたね。
私としては、JACCAさんの講習を受け、初めて現場でLGSを見たという状況でした。あとはもう教科書通りに、職人さんが何をいっても『ここはコレでやらないと保証にならないから』と、かなり厳密にやらせてもらいました」

研修で得たこと、現場で感じたこと

斉藤さんは耐震天井の施工研修を受けているが、その後に実際に現場も体験し、どう感じただろうか。

「研修では講習と実技を半々でやるのですが、実技では実際に小さな天井を組んでみます。色々な決め事もあるので、そういうものを実際に体験するわけです。軽天屋さんの仕事はいつも現場で見ていましたが、やはり講習だけではわからないことも多いですね。実技を経験しておいてよかったと思いました。ただ、研修は何もないところでやりますので、現場ではまた勝手が違うと思います。ダクト配管が走っていたり、ブレースの長さが合わなかったり、色々なことがありますから。
でも研修を一度受けておけば、耐震天井はこういうものだというのがわかると思います。もちろんまだまだ勉強中なのですが、他の現場でも役に立っていますね。JACCAの保証物件では、桐井製作所の『新耐震Full Power天井』を採用していますが、別の現場で他社製の耐震天井を手がけることもあります。そんなときに研修を受けていると、たとえば自主検査表を出す際に、『ここはこうビスが留まっていないといけない』といったことがわかります。職人さんの作業としては、少し部材ややり方が違うといった程度で、大きな問題はありませんね。
JACCAの仕様では使うビスの色まで決まっているので、下から見ればいくつ留まっているのかがわかります。ですから、下から見てチェックしやすいんですね。チェック項目ごとに写真を撮って提出する必要があるのですが、非常にわかりやすいです。また、そうした認識が一般の方にまで広まれば、『ここはちゃんと6本留まっているから安全だな』など、下からひと目でわかると思います。そんなことも施工しながら感じました」

「栄和クオリティ」を支える心意気

実際の施工において、栄和として、あるいは斉藤さんご自身として実践している工夫や心がけはあるのだろうか。

「ひと口に耐震天井といっても、実際はゼネコンさんによってやり方が異なるのですが、基本的にはJACCAさんなどの基準が頭に入っていれば、どんな現場にも対応することができます。たとえば吹き抜け部分の施工でも、普通のクリップを使っているところを、こちらの判断で耐震クリップに変更するといったことをやっています。そうした気配りが、弊社の施工クオリティへの評価にも繋がっているのかなと思います。
私自身が心がけているのは、恥じない仕事をするということです。弊社の人間は『できない』ということはいわないですね。少し無理をしてでも、『全部うちでやります』というようにしています。何か要望があったとき、一度はそれでやってみる。もちろん、どうしても難しい場合もありますが、極力『できない』とはいわないようにしていますね。
軽量天井に関しては、お客様に『5年、10年経ったときのことを考えてください』と伝えるようにしています。耐震というのは、現在の問題じゃないんですよね。絶対に落ちない天井になれば、それが一番いいわけですから。そこを目指したいですね」

埼玉県内屈指の内装工事業者として、スーパーゼネコンからの信頼も厚い栄和。高い水準が求められるJACCAの「耐震天井保証制度」においても、その技術と経験をいかんなく発揮している。住民が安心して暮らせる街づくりのために、これからもおおいにご活躍いただきたい。

取材協力

有限会社 栄和

1990年10月に創業。埼玉県熊谷市を拠点に、内装工事、リフォームに特化した業務を展開。豊富な実績と高い信頼で業績を伸ばしている。

斉藤 俊一氏

工事部 課長

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